4月26日、ネッツのホームで行われたセルティックス対ネッツの第4戦が行われました。
この試合に敗北するとプレーオフ敗退が決まるネッツは背水の陣で試合に臨み、シリーズ中抑えられていたデュラントも輝きを見せたほか、オープンスペースが生まれたセスカリーが効果的なショットを沈めていきます。
しかし、タイミングよくダブルチームをするセルティックス守備陣に成す術なく、セルティックスが接戦をものにし、シリーズ4-0のストレートでセカンドラウンドへの一番乗りを決めています。
この試合に限って言うとチーム力の差が明暗を分けた一戦だと言えるのではないでしょうか。
元々「個」と「個」の対決を戦前では予想しましたが、セルティックスが今シーズンの目標としていたチームバスケットが実を結んだと思います。
セルティックスの選手全員が40分以下で出場時間をとどめたのに対し、ネッツはデュラントが47分、カイリーアービングが45分とほぼフル出場です。また、セカンドユニットのプレイタイムもセルティックスは25分程度達していることに対し、ネッツは20分ほどで「個」への依存が試合を難しくしました。
勝利したセルティックスは、ジェイソンテイタムが29得点5アシスト、ジェイレンブラウンが22得点8リバウンド、マーカススマートが20得点11アシストとBIG3が揃い踏み。他にも二桁得点に近い活躍を3人がしています。
一方のネッツは、チーム全体のおよそ4割のシュートを放ったケビンデュラントが39得点9アシストを記録したもののスリーポイントは3/11と振るわず、デュラントをマークされながらもデュラントに依存したオフェンスパターンの少なさがセルティックスの堅守を破れませんでした。
■第4戦 試合結果
ボストンセルティックス 116-112 ブルックリンネッツ
BOS|30|28|32|26|=116
BKN|26|24|28|34|=112
勝負のカギは連携した守備を前にした個の力の限界
プレビューではどちらが勝ってもおかしくない東の注目カードとして紹介しましたけど、その予想を覆すセルティックスの強さを証明するシリーズだったように思います。
今シーズンのセルティックスはウドカの元、チームバスケットへの取り組みを進めていましたが、テイタムがハンドルする際には密集するインサイドに無理やりレイアップに行くシーンも多々見られたので、元々「個」と「個」のぶつかり合いを予想していました。
ただし蓋を開けてみると「チーム」と「個」の構図が出来上がっていて、スコア上は接戦ではありましたが、内容は格段にセルティックスの良さが際立っています。
特にセルティックスの守備面が目立つシーンが多く見られ、スタッツ上でも表れています。
レギュラーシーズンでリーグトップのディフェンシブレーティングを誇るセルティックス守備陣の前にはデュラント、カイリーアービングの個人技は通用せず、デュラントは4戦平均で26.3得点を記録したものの、毎試合チーム全体の25-30%のシュートを放ちながらFG%は39.4%にとどまりました。
エースがシュートアテンプトの多くをシェアしながらも決め切れなかった点は接戦が続いたこのシリーズでは致命的な要因になったと思います。
この結果だけを見るとエースの活躍ぶりがそのまま結果に反映され、デュラントへの風当たりが強くなりそうですが、セルティックスの守備が想像以上に良かったのはサプライズでした。
現にデュラントはほとんどがタフショットの中、決め切る力強さは見せられたと思います。ただそれと同時に個人技の限界を感じるシリーズだったと言えます。
良く得点王がいるチームは勝てない言われますが、最近ではロールプレイヤーの比重が昔と比較して高まっており、チームで連携して崩していくのはプレーオフで勝ち上がるうえでのキーポイントとなりそうです。
特にセルティックスのようにエースを徹底的に封じてくるチーム相手には連携面は忘れてはならないでしょう。
スイッチディフェンスが可能なセルティックスの強さ
ネッツの個人技での限界が浮き彫りになった一方でセルティックスの強さを称賛するべきシリーズではないでしょうか。
今シーズンの最優秀守備選手になったマーカススマートはガードながらデュラントにもマッチアップでき、スモールサイズながらダニエルタイスはセンターにマッチアップが可能です。
このシリーズではデュラントやカイリーアービングへのダブルチームの外、スイッチローテーションを多用するディフェンスを披露しましたが、それを可能にしたのはセルティックスロスターの守備の万能性です。
バックコートは1-4番までマッチアップ出来る力を持つため、ミスマッチが殆ど生まれず、流動性のあるディフェンスは接戦のプレーオフで大きな武器となりそうです。
ネッツのBIG3は来シーズンの始動を期待
スイープ負けを喫したネッツは本来の力を最大限出し切れなかった点は補足をしておきたいです。4戦目で復帰予定のベンシモンズのデビューは白紙となり、来シーズンに持ち越しとなります。
デュラント、カイリーアービングという長距離スコアラーを抱えるチームにおいて、シモンズはペイントエリアでの自由度を与えられますし、環境的にはシクサーズ時代よりもずっとプレイしやすいと思います。
また、シモンズが持つ絶対的なディフェンス力はデュラントの守備負担へつながり、オフェンスへの注力が期待できます。
セカンドユニットの差もプレーオフでは影響を与えそうなので、少数精鋭のロスターながらも若手の育成には注目したいところです。